EFFORTS OF UNIVERSITY OF TSUKUBA筑波大学の取り組み
人工知能(AI)を用いた感染症対策効果シミュレーション
人工知能(AI)などを使って、企業や社会に蓄積された膨大なデータ(ビッグデータ)をマーケティングなどに有効活用しようとするデータサイエンスが盛んですが、中でも、人々の関係性をネットワーク構造として捉え、各個人の行動パターンをモデル化して、集団全体その振る舞いを予測する「エージェント・ベース・モデル」という手法を中心に、様々な社会課題に対して、解決策を見出す、アプローチを研究しています。
この手法を使って、新型コロナウイルス感染症対策の効果についてもシミュレーションを行っています。経済活動の縮小や移動の制限などの対策によって、人々がどのような行動をとり、その結果、感染がどの程度広がるのかなど、感染発生初期から、感染源といわれる中国の武漢における全患者約8万人のデータベースを用いて、いくつものシミュレーション結果を積極的に発信してきました。本研究結果は、欧米では政策決定にも活用されています。
新型インフルエンザ、SARS(重症急性呼吸器症候群)、ジカ熱、デング熱、風疹など、毎年のように感染症は発生しています。その都度、WHO(世界保健機関)や国立感染症研究所などのデータを分析しますが、感染症ごとに、感染のメカニズムや対策は異なります。
蚊が媒介するような場合には、蚊の動きも考慮しなくてはなりません。基本的なモデルは同じでも使用するパラメータは全く違います。
●速報論文
人工知能学会論文誌 2020 年35巻3 号 p. D-K28_1-8
倉橋 節也「新型コロナウイルス(COVID-19)における感染予防策の推定」
https://doi.org/10.1527/tjsai.D-K28
●関連情報
筑波大学「知」活用プログラム「地域経済と感染抑制を両立させる予防策」
https://www.osi.tsukuba.ac.jp/fight_covid19/kurahashi/
ビジネスサイエンス系 教授